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審神者日和

とうらぶから刀剣鑑賞にハマった審神者ナカアキのブログ

【2016年8月27日】青森県立郷土館

  この記事は2016年8月27日、青森県立郷土館(青森県青森市)で開催された特別展「刀剣魂」を鑑賞した際のレポートになります。

 

  青森県立郷土館は昭和48年(1973年)、明治100年の記念事業として設立された県立博物館です。建物の一部、特別展示室は旧第五十九銀行青森支店(後の旧青森銀行本店)だったもので、現在は国の有形文化財に登録されています。

 

www.kyodokan.com

 

 

 

  青森県立郷土館と言えば、今年4月に八戸市で公開された「三条宗近の短刀」改め「ほうき星宗近」を6月に展示されたのが記憶に新しい。その折に「刀剣魂」のプレ展示もあったと聞き、気合入っているなぁ、都合付いたら行きたいなぁとボンヤリ考えておりました。

 

blog.livedoor.jp

 

  ほうき星宗近を鑑賞された方のレポート(刀剣探訪ブログさま)。いつもお世話になっております! 

 

 

 

  そして本展示が開始されました。何といってもタイトルが刀剣「魂」ですよ。熱い。

 

日本の魂を感じよ!青森県立郷土館特別展「刀剣魂」開催中 : まるごと青森 (exciteブログ)

 

  特別展の期間は7月中旬~8月末。ちょうど中鉢美術館やら徳川美術館の情報が入ってきた辺りで、タイミングを図って気が付けばお盆を過ぎてしまって。こりゃイカンとカレンダーを睨んで、ようやく日程を取り付けるに至りました。そうしたらなんと、目星を付けたその日に抜刀演武が見られるとのお知らせが。やったぜ!

 

 

  弘前藩の剣術というと卜傳流。こちらも今年2月末に刀剣ツアーなる体験イベントが開かれた履歴あり。刀剣は美しい一方、武器は使われてこそと語る男士が多いように振るわれる雄姿も見たいもの。期待が高まります。

 

 

  仙台~青森(新青森駅)は新幹線はやぶさでひとっとび。いっざしゅっつじーん!

 

 

 

  この日の混雑は何だったんだろう...。

 

 

  ともあれ、新青森駅で在来線に乗り換え、郷土館のある青森駅に到着です。

 

 

 

 

  お昼の時間だったので、不思議なお店に突撃。こんなシャレオツなお店があるとはなぁ。昼下がりママ友の会でごった返しでした。

 

 

 

  その後、郷土館へ。ちょうど演武開始直前だったのですが、同志らしき御仁のみならず老若男女、親子連れで大盛況でした。これは楽しみ!

 

 

  まずは刀剣の特性、折れず曲がらずよく切れるから始まり、OHPによる解説(刃文や地肌、試し切り銘等)が10分程度。その後、いよいよ演武です。今まで何度か見てきた型や藁切りだけでなく、何と鉄パイプまで裁断しちゃいました。

 

 

           \圧し斬る!/

 

  ここで、演武の解説内容を少しメモしていたのでついでに掲載します。録音ではないのでうろ覚えの部分もございますが、ご容赦ください。特に居合術まわりのお話を聞けたのが嬉しかったんです...。

 

〇巻藁試し切りについて

  大振りしなくても体の重みをかけて斬ることができる(手元だけではダメ)。巻藁は湿らせた状態でないと、斬った時に飛び散るよ。

  実践では胴を両断する必要はなく、急所を切ってやればよい。胴などの裁断銘は品質保証、巻藁は江戸時代の試し切り(罪人)の代用。並べて斬った胴の数の銘を切る(二ツ胴、三ツ胴)ちなみに七ツ胴が最高記録らしい。巻藁試し切りでは、鋭角に切れるか否かがポイント。刀を当てる瞬間から切っ先が抜けるまでをイメージして振り下ろす。

 

〇強い刀

  強い刀とは、弾力、粘りがあるもの。刀身の白っぽい部分の大小が関係する。室町時代頃は打ちっぱなしに刃を付けたもので、使用者自身が研いだ。江戸末期までの研ぎ、現代の化粧研ぎとの相違。

 

居合術

  打ち合いでは刃で受けると刃こぼれを起こすので、鎬か峰で受ける。受け流す際は持ち手を上げた状態で相手の刀を鋒側へ滑らせる訳だけど、半身を返すか肩を抜かないと鋒で斬られる(巻藁試し切りの項も参照)

  抜刀は、厨二病の抜き方... 要は腕を伸ばして抜くと相手に持ち手を打たれて簡単に止められるので、腰を引いて抜く。後ろから鞘を掴まれた場合は、鞘を起点に相手を押さえ込む。

  対槍戦。相手の突きに対しては右前で的を小さく構え、鋒を避け柄を滑らせて前へ。

  居合稽古の先生役は、習う側に対して有利な状況で指導する。不利な状況をいかに脱するかを体得する。

  ex) 長刀(自分)対短刀(相手)で座って真正面で対峙する状況・横並びで座っている状況など。この場合はまず抜刀が課題(工夫しないと急所を突かれてアウト)その後、どういなして王手を取るか。

 

〇質問コーナー(一つしか聞き取れなかった...)

  時代劇で小柄をよく投げるけれど、そうした技はあるの?

  >(講師の方が)知っている範囲では、教えている先生はいないです。

 

  出浦さま、似合いそうですよねぇ...(真田丸クラスタ

 

 

  演武終了後、さっそく特別展鑑賞の列に並びました。

  実は郷土館、普段は市内の三内丸山遺跡で発掘された出土品、つがる市亀ヶ岡遺跡(遮光器土偶)・八戸市の遺跡をはじめとする考古学資料、その他自然(白神山地等)、歴史、民俗、産業(りんご栽培等)といった各分野の資料が展示されています。演武前にも一部屋は鑑賞しましたが、まだまだ見どころがたくさんあって、でも日帰り弾丸ツアーなので刀剣鑑賞に最大限時間を割いてきました。

  なんせ、今回の展示数は半端ない。今回の目玉と言うべき古青江貞次作や津軽藩ゆかりの刀剣のほか、赤羽刀も多く展示されていました。他の展示はまた挑戦したいなぁ。

 

 

  ここからは鑑賞内容のメモを一部抜粋してお送りします。すべては記載しきれないので、刀剣は特に印象に残ったものについて。

 

津軽藩、弘前藩、八戸藩の刀工

  森宗、繁宗:浪岡北畠氏(舞草系)

  國廣:森宗、国吉と合わせて津軽刀工三傑

  安宗:弘前藩お抱え

  紀正賀(きのまさよし):水心子正秀に師事

  吉廣:八戸藩お抱え

 

〇日本刀 無銘 伝 備中古青江貞次作:本日のメイン。「日本刀」とは原文ママ、打刀か?

 

f:id:nakaaki0815:20161025082435j:image

 (この一振りのみ写真撮影可でした)

  小鋒、棟に樋が通る(茎から鋒まで)、目釘穴2、直刃調の小乱れ。杢目または板目で、とろみのあるこっくりとした肌という印象。所々に映りがみられた。

 

〇短刀 銘 浪岡森宗

  森宗二代、号慶林の作。平造、身幅大きく、樋が2本通る。

 

〇短刀 銘 奥州津軽住國廣 裏銘 首割土段払

  江戸時代前期の作。國廣のものとして県内に現存する唯一の資料。直刃調に板目肌がよくつみ、反りなし、太い樋に細い添え樋。

 

〇日本刀 銘 津軽住安宗

  大和守安定の門人、安宗の作。江戸時代前期。反りが小さく、互の目調の板目肌に柾目が交じるか。

 

〇日本刀 銘 奥観寿藤原吉廣 裏銘 天保五年八月日

  江戸時代末期の作。反りがやや高く庵棟、互の目が乱れる。解説には雲母肌とあるが、地肌に映りとも皆焼とも違う大きな模様が見えた。

 

〇日本刀 銘 吉次郎紀正賀鋳外濱砂鐵作之

  銘の読みは「きちじろうきのまさよしそとがはまのさてつをいてこれをつくる」。江戸時代末期。互の目が乱れ、板目が流れて柾目に見える。共に展示された鞘は、茶と黒の塗り(津軽塗とは違う?)がきれいで格式高い。

 

〇剣 銘 以外濱沙鐵紀正賀謹鍛造

  銘の読みは「そとがはまのさてつをもってきのまさよしつつしんできたえつくる」。江戸時代末期。板目が流れて柾目となり、刃文は直刃調に小乱が入り細かな沸えがつく。光の加減で地肌は青く見えました。

 

〇刀 銘 奥州弘前橘繁宗

  江戸時代前期。大互の目で濤欄風(とうらんふう)交じり足葉入り(キャプションのママで、具体的な見た目がどうかは理解してません...)。匂口深く明るく冴える。

 

〇大薙刀 銘 平安城住藤原國路作

  慶長16年(1611年)作。刃長91.2。弘前八幡宮蔵。

 

〇鬼神丸(太刀 銘 安清)

  巌鬼山(がんきさん)神社所蔵。茎に鬼が握った指の跡が残っているという。

 

〇銀熨斗包印籠刻蝦夷腰刀拵

  室町時代の作。柄頭と鞘の端にアイヌ風の花唐草模様。

 

アイヌの腰刀

  年代不明。柄は美濃彫りという金具彫りが施され、鞘は鮫皮で包まれている。

 

アイヌの山刀 (銘 村正)

  マジで!?と内心ビビった一振り。柾目調の直刀。以上3点、異国情緒の感じられる品々でした。

 

  ここまででも大した数なんですが、これより後は備州、相州、来派など津軽藩に贈られた刀剣や、赤羽刀が数多く展示されていました。鑑賞しながらなので体力的にメモ取り切れない...! その中でも、来国光の太刀とか、貞宗の脇差とその拵(大小拵)なんかがきれいでした。面白かったのは八戸藩の剣豪、簗田平治の佩刀とされる廣重の刀ですね。互の目尖り焼高く、はじめ皆焼と思ったほどに派手な刀身でした。

 

 

 

  2時間ほどたっぷり堪能した帰り、善知鳥(うとう)神社にお参り。こちらの創建は不明ですがかなり古く、荒廃していたところ坂上田村麻呂が社殿を造営し再興したという謂れがあるほど。近代だと、版画家の棟方志功が幼少時この近辺で暮らしていたようです。ちなみにウトウは海鳥ですな。

 

 

 

 

  なんかこの日はアスパムで盆踊りをしていたそうで、神社の境内まで音頭が聞こえていました。  

 

 

 

  帰路はゆっくり乗車することができました。