【2015年9月5日】上杉博物館 五虎退展示
この記事は2015年9月5日、上杉博物館(山形県米沢市)で展示された短刀 銘 吉光(号 五虎退)を観賞した際のレポートとなります。
米沢市上杉博物館は2001年、博物館・文化施設「伝国の杜」として、県立の「置賜文化ホール」と合築されてオープンした施設です。江戸時代中期の藩主である第9代鷹山公など、上杉氏に関連する展示を中心に、伊達氏や市内の古墳に関する展示など江戸時代以前の展示も観賞することができます。
上杉博物館のサイトを遡ると、五虎退の展示自体は今回が初めてではなかったようで、少なくとも2008年の展示目録で「短刀 銘 吉光」の名を確認することができます。ただ今回は、以下のような告知文で一躍話題となったのでした。
特別展示(予告) 刀剣「五虎退」・「姫鶴一文字」
お客様からの熱烈な要望にお応えし、「五虎退」(個人蔵)と「姫鶴一文字」(米沢市上杉博物館蔵)を期間限定で展示することとしました。
(当時の文章ママ、「刀剣乱舞攻略速報【とうらぶ】」より抜粋)
また、告知に前後して米沢泥足プロジェクト(@doroashiPJ)をはじめとする地元米沢の有志、商店街の皆様から、五虎退コラボ企画が続々と案内されるお祭り騒ぎに。
― こんにちは!私たちは米沢の有志で結成された、地域貢献・創生プロジェクトチーム【米沢泥足プロジェクト】です。今秋、米沢上杉博物館で刀剣が二振り展示されることから、来訪されるお客さまへ喜んでいただき、地域の良いものを全国へ発信していくべく日々活動しています。
(ツイッターアカウント紹介文より)
ともあれ東北で刀が観賞できる機会はありがたい。仙台からは直通の交通手段が思いつかなかったため、新幹線やまびこで一度福島駅へ。
福島ァ… pic.twitter.com/mNhGQNuRLz
— ナカアキ (@nkak0815) 2015年9月5日
新幹線つばさに乗り換えて米沢駅を目指しました。山形新幹線(秋田もだけど)、初めて乗る方は驚くんだろうなぁ。車窓の景色も良いものですよ。
― 新幹線が普通列車を待ち合わせるという珍しい風景も見られる。(ウィキペディア「山形新幹線」より抜粋)
閑話休題。
福島駅から一駅で、米沢駅に到着しました。
五虎退に前田慶次にきてけろくんに、忙しいなぁw pic.twitter.com/xhD8Pawxy8
— ナカアキ (@nkak0815) 2015年9月5日
米沢市街地は巡回バスが運行しているので、 こちらに乗り込み「上杉神社」バス停にて降車。
先に主さんにご挨拶へ伺います(。x。) pic.twitter.com/bVU2brBNto
— ナカアキ (@nkak0815) 2015年9月5日
五虎退、姫鶴一文字の前の主は上杉謙信公。天正6年(1578年)3月、謙信が死去すると、謙信の甥で養子の景勝と、後北条氏から人質として出され謙信が養子に迎えた景虎との相続争い、いわゆる御館の乱が勃発する。なんやかんやして最終的に景勝の勝利で乱が収束するまでに、上杉の軍事力の衰退、武田家滅亡の遠因になるなど周囲への影響も大きく、この辺りを北条、徳川の情勢と併せると『真田丸』向けの考察も捗るかなぁ...なんて。
景勝公は関ケ原の戦いの直接の原因となり、戦の翌年(慶長6年、1601年)に出羽米沢へ減封、以降、米沢の藩政確立に尽力しました。博物館から少し歩くと、堀の中に上杉神社が鎮座しています。こちらでは謙信公、鷹山公が祀られています。
9代藩主 鷹山公は江戸時代屈指の名君と謳われる人物で、領地返上を本気で考えるレベルだった藩財政を再生させたとされています。伝国の杜の由来と思われる「伝国の辞」や、「生(な)せば生る 生さねば生らぬ 何事も 生らぬは人の 生さぬ生りけり」の歌が有名ですね。
しばらく上杉神社でのんびりしててもいいな…(
— ナカアキ (@nkak0815) 2015年9月5日
北のお堀が楽園になってた pic.twitter.com/9MgN3bdIu2
そんな伊達政宗公生誕の地、米沢よりお送りします pic.twitter.com/4nm4gMEeiR
— ナカアキ (@nkak0815) 2015年9月5日
ちなみに伊達政宗公生誕の地でもあります。
いよいよ博物館内へ。写真撮影はできなかったのでじっくり観賞してきました。
キャプションによると、短刀 銘 吉光(号 五虎退)は長さ 25.2 cm、反なしの直刀。地肌は見た感じ水平に流れるような木目(柾目ほどではない?)、刃は直刃。峰側に水平で長めの樋が2本、刀身の中ほどまで通っていました。目釘穴2つの内、銘の直上にある穴1つは塞いでありました。
刀身は薄めで幅広でもないので、軽やかな印象でした。凛々しくてカッコよかったよ五虎退さん!
— ナカアキ (@nkak0815) 2015年9月5日
観賞後はギャラリーショップと上杉城史苑でお買い物ですぞ。
たくさんお土産買ってしまったー( ´ω`)上杉博物館の方に展示関連グッズはあるけど物足りないって方は、上杉神社参道を挟んで向かいの上杉城史苑においでー。コラボ商品結構ありますよー!(写真は五虎退Tシャツの棚にあるボード pic.twitter.com/pDIPNPslmO
— ナカアキ (@nkak0815) 2015年9月5日
コラボスイーツは食べられなかったけどラーメンをいただきました。満喫した末に仙台へ帰還。
遠征からたーだいまー(´ω` ≡ ´ω`)
— ナカアキ (@nkak0815) 2015年9月5日
五虎退研修 #とは pic.twitter.com/kqI8SmNNYE
成果物はこっち("="
— ナカアキ (@nkak0815) 2015年9月5日
フラットバッグの刀紋の方は品切れだったので、後日発送の申し込みをしてきたよ。米沢織の手触り良いよう pic.twitter.com/FYYH1ap3YP
それと当時伝えたかったツイート。以下、そのまま掲載します。
レポ書く前に。写メにある『米沢の刀工 ーよみがえる赤羽刀ー なんだけど、すごくわかりやすい刀の教科書みたいな本でした。今回の展示刀は掲載されてないんだけど、刀剣の写真が大きくて鮮明で、刀剣の変遷や製作工程、鑑賞の際の見どころ等解説が多い。オススメですぞ
— ナカアキ (@nkak0815) 2015年9月5日
陳列棚でコレ流し読みしてそのまま衝動買いをし、「コレいいですよね!」って売店のお姉さんに思わず声掛けちゃったもんよ。そうなんですよー、でもあまり手に取っていただけなくてーって…
— ナカアキ (@nkak0815) 2015年9月5日
中鉢の時に噛み締めたけど、せめて鑑賞のコツかわかっているのって大きい。身になると言うか有り難みが違う
それと売店のお姉さんに「刀の講義?みたいなの企画したら、皆さん集まりますかね…?」というようなことを尋ねられた。ええ、今のノリなら行きますとも。ノリって大事
— ナカアキ (@nkak0815) 2015年9月5日
...というのが、2015年9月当時のレポート。
そのほぼ1年後である2016年8月、『戦国時代展 ― A Century of Dreams ―』にて五虎退の展示が発表されました!
太刀 銘 安綱(鬼切、髭切)と共に、東京・京都・米沢の三会場を巡ります。会場によって展示内容が異なるので注意。
〇2016年11月23日(水・祝)~2017年1月29日(日):東京会場
〇2017年2月25日(土)~2017年4月16日(日):京都会場
〇2017年4月29日(土・祝)~2017年6月18日(日):山形会場
【戦国時代展】東京会場の前売りチケットは8月13日(土)から発売開始! 限定500組だけのお得なペアチケットも販売します。 https://t.co/tcsDSXHcM2
— 戦国時代展 (@sengokuperiod) 2016年8月9日
9月には義元左文字(宗三左文字)の出展も告知されました。またしてもお祭り騒ぎの予感。よいですな。
江戸東京博物館の『戦国時代展』に建勲神社蔵の重要文化財「義元左文字」が平成28年11月23日(水・祝)~12月18日(日)まで出展されることとなりました。東京での公開は5年ぶりとなります。この機会に是非ご覧ください。 pic.twitter.com/xKWzUMeP0G
— 建勲神社 (@kenkun_jinja) 2016年9月3日