所有刀剣を撮影しました(脇差 阿州師久作)・その3
阿州師久作の脇差をお迎えして約半年が経過しました。
(刀剣をお迎えしました - 審神者日和 (hatenablog.jp))
その凛とした体配と見応えのある地鉄に惚れ、勢いのまま購入して以来、色んなことがありました。
初っ端から「刀枕すらないんかい!」の声が手元から聞こえた気がしたし、撮影しようとすれば採光良好な自室のおかげで思う姿が撮れなかったり、刃取りを刃文と勘違いした記事を作成したり。
はたまた部屋の湿度が低すぎて、手が内出血するまで叩いても柄から抜けなかった、なんて日もありました。
それでも見たい欲は止められない。油を引いてあっても一目見たくて抜いてみたり、ネットで刀剣のお写真が流れるたびに「うちの師久さんなら」って考えちゃう辺り、すでにぼくの中では大きな存在になりつつあります。これが初期刀というものか......
それと、ネット上で情報収集をして改めて実感したこととして、海部刀って本当に情報が少ないなと。
出来の良い海部があまり残っていない、とまでは言えないと思うんです。ぼくの調べ方もまだ足りないのだとも思う。それでも、他の人気刀工の作ほど情報が上がってこないと言いますか。
多数の海部刀を所蔵する博物館はあるけれど、気軽に立ち寄れる場所にはない。なら次にと、海部刀や刀工名で検索してもなかなかヒットしてこない。海部刀工が記述された書籍はあるか、現物のレビューはあるか...... と調べていって、ようやくチラホラ見えてくる。そんな刀というのが今のところの印象です。
運が良いことに、本品と思われる脇差が記載された刀剣書が存在することをツイッターで教えていただきました。また、海部刀を所有されている方のレポートも少しずつ拝見しています。
購入当初は「いきなりニッチなかたを選んでしまったかな」と考えたもんですが、こうした愛好家の方々の足跡を辿りながら自分の刀を見ていけるというのも、なかなかどうして幸福な体験だなと感じています。
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【追記あり】所有刀剣を撮影しました(脇差 阿州師久作)・その2
所有刀剣の記録の第二弾として、今回は刃文を中心とした写真撮影に挑みました。
第一弾はこちらの記事(所有刀剣を撮影しました(脇差 阿州師久作) - 審神者日和 (hatenablog.jp))をご覧下さい。
前回との主な違いは、『光源に白熱電球(60W)+クリップライトを使用』『背景は黒布のみ(前回使用したもの)』といったところです。光量が十分とれたためか、LED照明では見えにくかった刃縁の様子などがよく観察できたかと思います。
一方で、撮影となると思う箇所に光を当てにくく難航しました...。これは完全にセッティングが悪かったですね。天井とか、もっと高所から照らさないと正直厳しいかも。
カメラは前回と同じくOLYMPUS TOUGH TG-5を使用しました。スマホカメラに単眼鏡を当ててみたり色々試行錯誤したのですが、結局通常のデジカメに落ち着いた感じです。なお、フラッシュをマニュアルの1/13の光量で設定しています。
帽子は、表裏とも小丸に返り、表は返りの先端が鋒へ少しほつれているように見えます。海部刀の帽子は返りが深く「一枚」風(※)の特徴があることですが、本刀はそこまで深くはないですね。
※「一枚帽子」は鋒のほとんどが焼き刃になるほど深い焼き入れが施された帽子。郷義弘や長船祐定の作刀に見られるそうです。
【注意・2023年3月10日追記】
帽子(切先の刃文)について上に記載していましたが、「小丸に返る」というのは刃取(白いライン)を指して述べていました。本来の刃文はもっと刀身側にある鉄色のラインで、写真だと鋒に掃きかけているように見えます。
地鉄は板目、杢目が交じり沸え出来。特に刃縁はザラザラ、キラキラしています。
まるでピントが合っていないけれど、映りが撮れた一枚。
光を当てた辺りに、前回撮影時に気づいたヒケ疵。こういうことも記録に残しておきましょう、大事に扱いますごめんね......
この辺りで力尽きたので、今回はここまで。
所有刀剣を撮影しました(脇差 阿州師久作)
先日お迎えした脇差の師久さん(刀剣をお迎えしました - 審神者日和 (hatenablog.jp))を、改めて撮影しました。
撮影環境としては、
・自室(窓が近いので自然光あり・遮光の両方で撮影)
・百均のワイヤーフレーム+滑り止めマット+黒布で背景を作成
・照明は消したり1つだけ点灯したり
・カメラは一眼ではないデジカメ(OLYMPUS TOUGH TG-5):顕微鏡モードも試しましたが、いい画が撮れず断念
前回も感じましたが、生身の刀剣の撮影ってすごく神経を遣いますね... 刀身もだし、脇に置いた白鞘や鎺を傷つけないか終始心配で。
まあ、自分の刀だから好き放題の置き方・アングルで撮影できるのはメリットでした。
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刀剣をお迎えしました
ブログの方では大変ご無沙汰しております。
この度、ご縁があって初めての刀をお迎えしました。
連休に仙台で開催された刀剣市でお会いした一振りで、室町期の海部刀の脇差です。
海部について知識がほとんどないので、帰宅後に自室の教科書をあれこれ調べました。
○海部鍛冶は阿波国(阿州)の海部師久を祖とし(諸説あり)、鎌倉末期~幕末期まで栄えた。
○江戸時代には、徳島藩蜂須賀家のお抱え鍛冶として徳島城下で鍛刀した。
○著名なものは三善長慶所持の刀 阿州氏吉作(名物 岩切海部)。
「四国の刀工には詳しくなくて」と店長さんにお話し、その場で色々伺いました。この時代なら海向かいの長船が健在で京とも距離が近い、とのことで、もしかしたらそうした地域の影響も少なからず受けていたのかもしれませんね。
それはそうと正真正銘、人生初の所有となるため、手入れ道具と刀袋も併せて購入しました。
だが、刀枕と毛氈も持ってなかったことに帰宅してから気づくという。ああもう勢いでお迎えするからこうなるんだ!
しょうがないじゃない、出会っちゃったんだもの。
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