【2018年1月6日】鹽竈神社博物館 平成30年戊戌新春特別展『新春刀剣展』
この記事は鹽竈神社博物館(宮城県塩釜市)にて開催中の特別展『新春刀剣展』を鑑賞した際のレポートです。
「このブログについて」や「刀剣関連の探訪先一覧」でも触れているように、鹽竈神社博物館には定期的にお邪魔しておりますが、単独の記事として取り上げるのはこれが初めてですね。
今年の展示で大変興奮してしまったので、はじめはTwitterのモーメントにまとめていたのですが、改めて書き起こすことにいたしました。槍は!!! いいぞ!!!
鹽竈神社(しおがまじんじゃ)は古くから東北鎮護・陸奥国一之宮として、朝廷を始め庶民の崇敬を集めてきたそうです。創建年代は定かではありませんが、起源は奈良時代以前にまで遡るとのこと。江戸時代にはいると伊達家の尊崇殊の外厚く、伊達政宗以降歴代の藩主は全て大神主として奉仕してきました。
www.shiogamajinja.jp 現在では、境内に鎮座する志波彦神社(しわひこじんじゃ)とあわせて地域の方々に崇敬されている「地元の神様」といった様子です。
そんな鹽竈境内にある鹽竈神社博物館は、神社伝来の宝物および歴史的資料等を収集・保存しています。武具・絵画・工芸品・古文書・典籍のほか、主祭神・塩土老翁神にゆかりある塩業や漁業に関する資料が展示されています。常設展のほか、定期的に特別展として仙台藩ゆかりの刀剣や現代刀が公開されてきました。
新春刀剣展は毎年ラインナップが異なるようで、また個人的には刀剣乱舞ーONLINEープレイ以降初めて訪ねた展示ということもあり、このところの年始の楽しみの一つでもあります。
仙台駅から仙石線に飛び乗って、いざ出陣!
お参りを済ませた後、博物館へ。志波彦神社の楼門からは塩釜港が望めます。
梅じゃないよ! 四季桜という、年に2回開花する品種だそうです。
いよいよ刀剣展へ。入館料は大人300円、中高生以下は無料です。
館内は撮影禁止、展示目録がないので、いつものように印象に残った展示について私見交えて解説していきましょう。
太刀 無銘 (宝寿) 《すき!!!》
イケメン宝寿さん。入り口から2つ目のケースにいらっしゃいます。宝寿の太刀に会うのは昨年8月以来かなぁ。ライトがいい位置で、映りがよく見えました。
太刀 銘 宗吉作
宗吉は一文字派の刀工。調べてみると、同作の太刀が熱田神宮にあるそうです。
刀 銘 丹波守吉道
キャプションより先に刀身を見てうひゃーっとなった。見事な簾(すだれ)刃!
刀 銘 備州長船住横山祐包作
「友成五十八代孫」の銘も。華やかな刃文。
太刀 額銘 備州長船信氏
展示が近いので、折り返し銘の切り取って嵌めているさまがよくわかるね。
刀 銘 備州長船祐定 《すき!!!》
祐定というと、2016年11月に京都を訪ねた際、藤森神社の宝物館でお会いしてたね。
この時はよく見えなかったけれど、鹽竈の祐定はすごかった。左側から見た時の刃文のギラつきにぎょっとしました。自分の中で備前刀のイメージが変わっちゃうよう。
話は変わりますが藤森神社と言えば、「太刀 鶴丸写し」が今年1月16日に奉納されますね。今年は1月20日から、藤森祭のある5月5日を除いて約1年間展示されるそうです。会いに行かないと!
最新情報 (藤森神社サイトより)
「ここまで揃うと今年の新春展は備州刀がテーマなのかな?」と思っちゃうけど、いやいや今回は槍祭り!
今年は目録がわかる資料はないとのことなので、入館時にいただいた手引きから抜粋。平成29年11月に大竹氏より寄贈された槍の数々(大竹コレクション)、圧巻でした… 図中の丸つけた形以外にもあるんやで…
— ナカアキ (@nkak0815) 2018年1月6日
※丸つけ忘れていますが、もちろん直槍もありました pic.twitter.com/vbJG3niulb
ツイートの通り、昨年鹽竈神社に寄贈された大竹コレクションが槍、やり、やり! こんなにバリエーション豊富とは知らなかったよ。
中でもビビッときたのが菊池槍と、
菊池槍は、教科書的には「茎の短い短刀様式の片刃の直槍」ですが、印象としては「茎の長い短刀」に近いかも。長い柄を常に携帯せずにすむ利便性がありますな。茎を切れば短刀に仕立て直せます。
— ナカアキ (@nkak0815) 2018年1月6日
となると、昨年鑑賞した吉田松陰の短刀は菊池槍(短刀→槍)ではなく逆・菊池槍(槍→短刀)...?
名前の時点でおいらにとって出オチの鯰尾形槍。
(自分にとって)問題の鯰尾形槍。もちろん鯰の尾のように穂先がふっくらした槍で、笹穂槍などと比べると少し非対称かな? ふくらがふっくら(大事)
— ナカアキ (@nkak0815) 2018年1月6日
銘 固山宗(以下切)から、陸奥国白川出身の刀工 固山宗次の作と推定されるそうです。備前伝を思わせる作風とされ、本作の刃文は尖り互の目(三本杉)。
それと当日のツイートでは触れていなかった弓槍。
おそらく袋槍と呼ばれる形状なんだろうけど、これは弓の上部に被せた状態で出陣し、矢が尽きたら適当な棒を竿にして槍として運用するというもの。菊池槍と同様、携帯性に優れた殺意の塊すごい、つよい。
また拵も展示されていました。目に留まったのは大根図鍔 銘 仙台住人/梅近作 ですね。あおくび大根を彷彿とさせるフォルムが愛らしい(?)一品です。
吉道の簾刃でうひゃーってなって、祐定のギラギラにやられて、菊池槍に感激し、鯰尾形槍に心乱された挙句、雲生さんや来国光をぼんやり眺め、〆に宝寿さんで落ち着かせる始末。宝寿さんはダンディ
— ナカアキ (@nkak0815) 2018年1月6日
ということで、今回の新春展を堪能してまいりました。いやぁ濃かった!
おそらく大竹コレクションの受け入れ前後だったのかな、昨年の一時期展示を休止した折にレイアウトを変更したのでしょうね。ライティングだけでなくキャプションも「このケースの左上から見ると刃文がみえるよ」みたいな解説になっていました。今後ますます鑑賞が楽しくなりますね。
今年の新春展は今日までで、宣伝記事とするにはだいぶ遅れてしまいましたが、ご参考いただければ幸いです。ここまでご覧いただきありがとうございました!