【2017年4月2日】ヱヴァンゲリヲンと日本刀展
この記事は2017年4月2日、宮城県仙台市のイービーンズにて開催中の【ヱヴァンゲリヲンと日本刀展】を鑑賞した際のレポートです。
いやー仙台に来てくれるとは思わなかった! やったね。
『ヱヴァンゲリヲンと日本刀展』は2012年07月14日から備前長船刀剣博物館(岡山県)を皮切りに国内外を巡回しており、それがこの度仙台にやってきたというわけですな。
現代の名だたる刀匠が、劇中の登場キャラクターやメカにインスピレーションを受けて作刀した刀剣、刀装をはじめとした展示会とのこと。題材となったヱヴァンゲリヲンについては、ここでは特に説明は必要ないかなぁ。ナカアキの知識は貞本版『エヴァ』までですが…
ところで本日4月2日(日)、別の展示に行くことを目論んでいて『ヱヴァ展』は頃合いを見て…と考えていたんです。先月半ばくらいまでは。
「足利市 × 刀剣乱舞-ONLINE-」コラボレーション企画 – 今、超克のとき。山姥切国広 いざ、足利。
行きたかった、足利すごく行きたかったんです!!
しかし、当方のTwitterをご覧の方はご存知かもしれませんが、年度末の学会参加で体力がすっからかんになってしまい。復調にもだいぶ時間がかかって「こりゃ遠出は無理だ」と断念せざるを得なかったというorz
またいつかチャンスこないかなぁ。
閑話休題。
そして本日。遠出はダメでもそこそこ気力はあったので、行ける内に見に行こうと思い立ち仙台駅前へ。市内在住ですのでアクセスはラクだしね。
この時、審神者は思い至らなかった。この展示が想定以上にガチであることを…
単眼鏡も一眼レフも持たずに挑むのがいかに無謀な挑戦であるのかを…
イービーンズ、古くはエンドーチェーンであった商業ビルの上層階は、10年くらい前にはすでにアニメイトが入っているなど独特の雰囲気を醸し出していましたが、久し振りに来たらなんかより濃厚になってませんでした? 今、あんななんだ… (個人的にアニメイトやとらのあなに気軽に立ち寄れない)
ともかく、8階から先はエスカレーターがないので、アニメイトを通過して階段で上がります。別により下階から上ってもいいのだけど。
9階 展示フロアに到達すると正面に券売スペース。ここで音声ガイドを借りることもできますよ。ミサトさんの「サービス サービスぅ♡」が響き渡る。
しかし入り口から一歩立ち入ると、そこにあったのはこの2年間で見慣れた風景。静かに厳かに佇む刀剣ケースの列に出迎えられました。
前述したように、今回の展示作品は現代刀匠によるもの。最初のスペースには、時代ごとの刀剣を写した作品が展示されています。
上の写真は安藝國三上貞直作の太刀。平安後期から鎌倉初期の腰反りの太刀を写したもの。鍛えは板目肌、刃文は直刃調にのたれが交じりゆったりとした雰囲気。「あ、落ち着く…」という印象。
かと思えば、
ずびゃーっと丁子乱れの華やかな太刀 (銘 善博)や、
これまた華やかな刀 (室町後期の末備前の写し) に肥後拵など、時代を下りながらそれぞれの特徴を解説していくというスタイル。
いやぁ失敗した、せめて単眼鏡持ってくるんだった! と内心あたま抱えましたよ。
鑑賞には悪くないライティングなんだけど、せっかく見つけたチャーミングポイントがあいほんだけでは伝えきれない;;
会期中、再チャレンジできるかなぁ…
こちらは貞直氏の作。大磨上げの刀を写したとのキャプションから、室町〜安土桃山辺りをイメージしているのかな。
こちらの用意が良くないけど、意地で撮れたものをアップしておく。
刀 銘 正幸作。幕末期をイメージした作刀とのこと。地肌の方が少ないくらいに自在に焼きが入った皆焼がすごい。
ブースには刀剣の成り立ちや鑑賞のポイントを解説するパネル、さらには真剣の重さを体感するためのケースも。持ち上げる度に刃が痛まないか心配になるなど、ううむ。
ここでじっくり目を慣らして次のスペースへ。『ヱヴァ』の刀剣、総勢20振り以上が待ち構えていました。
すべてを紹介してしまうと冗長になるし、何より読み込みが甘かったのがバレるので、特に印象深かった作品について。
脇指 赤松伸咲作之 有志事竟成 (号 紫電緑閃)
初号機仕様の脇指で、<序・破・急>の字が刀身、拵の各所に掘られています。初見で「破邪顕正」とばばん!と目に入ってくるので、フォロワーさんと同様に某天下五剣が思い浮かんだという。
造り込みが面白くて、切先から刀身半ばまで棟側が薄くなった冠落とし造りになっています。
また、図録によると右手指 (めてざし) の形式で作っているようです。帯刀時は右の腰に、切先が前を向くように指し、取っ組み合いになったら右手で後ろにスラリと引き抜くわけ。殺意高いよ!
なんというか、シンジ君が抜くところを想像できる一振りだなぁ。
弐号機F型用ATF曲刀と銘打った一振り。室町時代に北九州地方を収めた大友氏が使用した「筑紫薙刀」がモチーフとのこと。
柄とどう繋がってしているのかわからなかったので図録を参照しました。造り込みの段階で棟に鉄製の輪を接合しているようです。手入れや研ぎに苦労するだろうけど、白兵戦の使い勝手はすこぶる良さそう。つよい。
今回の展示の目玉ですな。全長332cm、重量22.2kg。すぐ御手杵さんと脳内で比べてしまうのが僕の悪い癖。
これはぜひ実物と、そばのモニターで公開している製作ムービーを見ていただきたいです。ダイナミックで見惚れる。
ダマスカス鋼で鍛えた地肌が美しい。
短刀 銘 二千年九月十三日 貞伸造 平成二十四年 (号 災禍の真実)
セカンドインパク刀。ゼーレのマークとそれを彷彿とさせる杢「目」、白い飛び焼きの「目」と見てて飽きない一振り。
刀 銘 二十五代藤原兼房 平成二十五年夏 (号 冀望)
渚カヲル仕様の刀。号は希望、海をモチーフに作られているとのことで、静謐とした佇まいがカッコいい一振り。
図録を読んでたまげたのだけど、鞘の模様は「ふのり」を使って水面を表現しているそうです。一気に潮臭くなってきたよカヲル君。
太刀 銘 濃州住正也作之 平成二十五年五月吉日 (号 静謐)
綾波レイ仕様の太刀。静謐というか清らかな印象の地肌。冀望よりも切先大きく物騒でもある。
こちらも拵キレイだなぁとうっとり眺めていたのだけど、図録を読んでゾッとした。ひええ。
というわけで、展示の一部を紹介させていただきました。これでも、もうひとつの目玉と言うべき一振りを紹介してないからね、ボリュームすごいからね!
何より、刀匠さん方の熱意と遊び心が伝わってくるのが、見てるこちらも楽しくなる良い展示だと思います。
少ないながら様々な刀剣を見てきた中で感じたこととして… 現代刀 (と呼べばいいのかな) のいいところって、その刀匠さんが自分たちと同じか、ごく近い時間を生きていることなんだよなぁ。古刀・新刀が大事にされて今日に辿りついたことが奇跡なら、これから伝え届けていく作品だってやはり尊いのだと思う。その過程というか時間スレスレに自分が立ち会えるかもしれない、スリルのような。何と言ったらいいんでしょうか…すみません…
「そういうのもイイよね」とまとめるしかないや。
少なくともロンギヌスの槍は、将来刀剣男士として顕現しておかしくない、というかおいでよ。
>>>結局言うことはそれか<<<
今日はまだ人混みというほどではなかったけど、じっくり見て回って2時間弱は楽しませていただきました。
ミュージアムショップも開いていて、この展示以外の図録や書籍がわんさか置いてあったり、期間中土日には全日本刀匠会の職人さんによるプレートへの銘切りもあったり盛りだくさんの内容でした。
現代刀匠の遊び心満載で、ヱヴァをよく知らない方でも楽しめる内容だと思います。GW明けまで開催しているので、お近くのお歴々もぜひ見においでよ!